漫画NANAで多くの読者が胸を締めつけられたのが、ハチ(奈々)とノブ(伸夫)の恋の行方です。
一度は強く惹かれ合った2人。しかしハチが選んだのはノブではなく、タクミという現実でした。
それでも未来編で描かれる2人の再接近に、ファンの中には「やっぱりハチはノブが好きだった」と確信する声もあります。

今回は、ハチとノブの関係を深く掘り下げながら、2人が結ばれる未来が本当にあったのかを徹底考察していきます。
※一部、NANA84話の未掲載内容のネタバレ考察があります。
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ハチとノブは結ばれる未来があったのか?
ハチがノブではなくタクミを選んだ理由
ハチが妊娠を知ったタイミングは、まさに人生の分岐点でした。 愛していたノブに迷惑をかけたくないという気持ち、 タクミから「結婚しよう」と言われた安心感、 そして子の父親がタクミである可能性が高かったという現実。
さらに、妊娠をタクミから知らされたことからノブに浮気を疑われたことで、自業自得という自己嫌悪もあったはずです。
ハチは本当はノブが好きだったけれど、肝心な場面のタクミのような強い引力に引かれ、 金銭的な安心感や“守られたい” “甘えたい”という気持ちに最終的には従ってしまった。
もちろん、ノブにとって大事な時期だったのでノブが自分のためにバンドのデビューを諦めて親の旅館を継ぐかもしれないという心配もありました。
そこには、理想と現実の間で揺れる、20歳の女性らしい等身大の弱さがありました。
ハチの葛藤と選択が与えた影響
ハチはノブに迷惑をかけたくないという気持ちと、タクミに頼ってもいいのだという安堵感の中で、結婚という選択をします。
彼女なりに現実的な判断をしたつもりでしたが、その選択は心の整理がつかないまま進んでいったようにも見えます。
妊娠に驚いていた時に、はじめにノブにタクミとの関係が切れてなかったのか聞かれたショックや自分を責める気持ちもあったのではないかと思います。
きちんと話していたら、最初に妊娠に気づいたのがノブだったら…状況は変わっていたかもしれません。
タイミングは現実の世界でも人生を左右する大きな要因だと思います。



私の友人に、人生で初めて好きな女性に出会えて付き合えたけど、直後に元カノが妊娠をして出産するといわれ、好きな女性と別れて子供の父親になった人がいます。
人生は選択とタイミングによって望んでいなかった方向にも進むと、NANAを通して学ぶことができますね。
すべてが望むように進まない、そんなところがリアルのフラストレーションを感じさせます。
子どもを認知するというタクミの申し出はハチを救った面もありますが、愛ではなく安定や責任がベースにあったため、本音を押し込めてしまったのではないでしょうか。
何よりも重要なのは、ハチが本当に好きだったのはノブだったという点です。
タイミングや状況、責任感、ノブの負担になりたくない気持ちや、金銭面の安心など様々な葛藤、そして子の父親がタクミの可能性が高いと判断した上で、彼女はタクミを選んだのではないかと読み取れます。
AV女優ユリとの関係とノブの気持ちの変化
ハチと別れた時、ノブ自身も、葛藤を抱えながらもAV女優ユリのお陰で吹っ切れたと話していましたが、 本心では未練を抱えたまま、ユリを選んだようにも見えます。
ノブはハチと別れた後でユリたちと寮生活のためよく一緒にいるようになりました。
しかしその関係には、どこかしっくりこない違和感のある雰囲気の時もありました。
何より、ノブは自分が大切に思っているナナを大事にしてくれない彼女と上手くやれないところがあります。
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ユリはノブが好きなゆえ、ハチへの嫉妬やハチの友人であるナナにも冷たいところがあり、度々ノブをモヤモヤさせる場面がでてきます。
最終的に、ノブがユリに冷めたというよりハチの存在の大きさを知ることになったのは以下の場面だと推測できます。
蓮の死後、ナナが苦しむのを軽視し思いやりを見せなかったユリの姿と、ハチのナナへの行動の違い。
ナナが過呼吸の発作を起こし、ノブが紙袋で対応しても苦しむ様子をみて、ハチはどうにか救おうと人工呼吸でナナに二酸化炭素を送ります。
この時、ノブは一瞬驚いたものの涙ぐみながらハチに触れました。
このシーンで、ノブの中でのハチへの特別な気持ちを再確認したのではないでしょうか。



ノブの心情は複雑ですね。ハチに対する特別な思いを持ちながらも、レンの戸籍上の父親になれなかった事実に自信が持てず、優しさゆえにハチの家庭を壊すことはできないと思います。
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そんな葛藤が渦巻く中で描かれるのが、ハチとハチの子供レンの関係。
ノブはレンに懐かれ、共に音楽(ベース)を共有している様子があり、 それがまた、ハチとの絆を再燃させるきっかけにるかもしれないと期待させます。


未来編で描かれたハチとノブの関係
未来編ではノブとハチの再接近が描かれます。
お風呂場のシーンでノブがハチの手を取る描写が登場します。
この場面で、ハチは昔のように涙を見せ、ノブは一瞬ためらいながらも、 そっと手を差し伸べてくれました。
その表情は、かつてのように情熱的ではないけれど、失われたものを今なお大切にしているような優しさが込められていました。
お風呂場のシーンで手を取る描写は、単なる友情ではなく、未だお互いに残る強い想いを感じさせる演出です。



このやりとりに、読者の多くが「やっぱり2人は今でも想い合っている」と確信したのではないでしょうか。
ハチとノブ、再び結ばれる可能性
もし、物語がさらに続くとしたら、ノブとハチが再び向き合う日は、必ず来ていたと思います。
ハチの心には、タクミへの安定と感謝がある一方で、 ノブへの後悔と本当の愛情がずっと残っていた。
ノブのほうも、ハチに触れたとき、 昔の感情が戻ってきたような迷いと優しさを見せていました。
もし、時間と環境が違っていたら。 もし、子どもが少し大きくなったら。 2人が再び結ばれる可能性は、ゼロではなかったと強く感じます。
未来編でノブの手を取った瞬間、ハチはようやく自分の気持ちに正直になれたようにも思えます。
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考察まとめ|ハチとノブの失われても消えてはいない愛
ハチの妊娠と結婚で、ノブの関係は確かに一度終わりました。
けれど、終わっただけで、想いは消えていなかった。
未来編では、少しだけ手が触れたあの瞬間に、 2人の心がもう一度重なっていたように見えました。
選ばれなかったけど、今もそばにいる。 そんな関係もまた、愛のかたちなのかもしれません。