ニュースをにぎわせている山口県阿武町役場の給付金の誤振込事件の犯人が電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されました。
4月8日、山口県阿武町が1人あたり10万円を463世帯へ振込予定だったところ、1世帯のみに山口銀行から4630万円の給付金誤振込がありました。
463世帯への振込を1世帯へ振り込んでしまい返金を求めるも受取人からが拒否しオンラインカジノに使用し返せないと話していました。
振込はフロッピーディスクで行われていました。
この事件、驚愕ですよね!
このニュースをみて、以下の疑問がうかびました。
- 誤振込とその後の返金しなくなった経緯と流れは?
- 今時、大事な振込みをするのにフロッピーディスクを使う理由は?
- 誤振込とわかっているのになぜ取消や返金ができない組み戻しの仕組みとは?
この記事では、以上の疑問について金融機関に詳しい方からお話をうかがいまとめました。
山口県阿武町フロッピーディスクで給付金の誤振込の経緯と流れは?
そもそもなぜ誤振込が起きてしまったのでしょうか?
誤振込が起こった原因は役場の提出書類のミスです。
フロッピーディスクを使っていたそうですがフロッピーが問題だったんですか?
フロッピーを使用することは問題ありませんよ。この振込でミスにつながったのは情報データの抽出を間違えたことによる人為的ミスです。
例えば、振込依頼のデータ作成で以下のようなものができるシステムのようです。
- A… 1人1人の給付金を振込ための明細が表示され1人に10万ずつが出る
- B… 全体の一覧が表示される
- C… 一覧のトップにある人名と全体の金額が表示される(必要ない書類)
Aのデータを銀行に持ち込めばよかったのに間違えてCを選択し持ち込んだたため、Cでトップに表示されていた犯人へ全体の金額3460万円を1人へ振込してしまったというわけです。
人為的ミスはどうすることもできないんでしょうか。そもそも必要ないデータが表示されることにも問題に感じますね。
誤振込が発覚したのはどんな流れだったの?
ざっくりと流れを追っていきましょう。
4月8日
阿武町役場が銀行に間違えた依頼書データを銀行に持って行ってしまう。
その書類通りに銀行が振り込んだためミス発生。
銀行が気づき役場に連絡しミスが発覚。
役場はミスを取り消して欲しいと依頼するが、銀行からこれは組み戻しになるので、受取人である犯人が組み戻し書類を書かないと返金できないと説明される。
犯人は振り込みがあったことを当初は知らず、役場からの連絡で知る。
返金に了承し、一緒に宇部市内の銀行まで車で2時間かけて移動。
銀行の玄関の前で急に態度を変え「知り合いの弁護士に相談する。自分は悪くないから文書をもって弁護士を通してください」と返金手続きを拒否。
手続きをしてくれないので再び役場の車に乗り途中で「おろして欲しい、あとは自分で帰るから」と降りた。
この日のうちに銀行から60万円以上を引きだす。
14日(6日後)
役場は犯人の職場に行き面会。
組み戻し手続きをお願いするが「知り合いの弁護士と相談してからでないと対応しない、なぜ役場がミスしたのに僕を責めるんだ!」と返金を拒否。
その後
犯人は職場の店長に「辞めたい、役場ともめているのでこれ以上迷惑をかけたくない」と退職願いを告げる。
男性側の弁護士から、母親立会いのもと返金手続きをすると連絡がくるがその後の連絡がない。
21日(2週間後)
役場職員が行くと犯人は「もうお金はありません。お金は動かしました。犯罪になることはわかっているけど罪は償います、借金を返します、自首します。」
8日から2週間かけて少しずつお金を引き出したり移動して、口座にはほとんど残っていない。
現在のところ、借金の事実は確認できていない。
21日を最後に音信不通、逃亡。
その後オンラインカジノでほとんどのお金を使ってしまったと話す。
5月18日の発表で電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕される。
およそ4000万をオンラインカジノの使ったことへのSNSの声は?
ネットの声をまとめました。
私も怖くて連絡して早急に返金したい派ですが、実際に銀行で誤送金ってあるんですか?
多くはありませんが、銀行内には同姓同名の方などもいるため、まれに別人へ誤送金もなくはありません。返金しない人を見たり聞いたりしたことはなく全体的にも多くはないでしょう。
犯人の田口翔は出所後、YouTuberのヒカルが雇用契約を結びました。
ヒカルのYouTubeの中で事件についても語られるでしょう。
山口県阿武町で給付金の誤振込はなぜ取消や返金ができないの?組み戻しの仕組みとは?
誤振込の取消ってできないんでしょうか?
金融機関によってシステム上の違いはあるかもしれませんが、取消はできる場合があります。しかしそれは基本的に銀行員のミスでまだお客様(受取人)に知られていない場合です。
10万円を振込予定のところ間違えて4630万円を振り込んだのが明らかにわかる今回の事件。
なぜ、振り込まれた時点ですぐに取消ししなかったのでしょうか。
銀行員が振込を間違えるのは銀行の中では大きな事故扱いになってしまいます。
そして、普通預金でまだ通帳記入をしてない場合は間違えに気付いた時点で上司の指示に従い振込の取り消しを行える場合があります。
それだと引き出される前にすぐ取消しできていたはずですよね!
しかし、今回の場合は振込を間違えたのは依頼人(役場職員)です。
この場合の取り扱いは以下のようになります。
間違って振込したとしても受取人(口座名義人)の同意なしに振込の取り消しや返金(組み戻し)をすることができません。
えー!間違えただけなのに受け取った人の許可がいるの?!
阿武町役場はまさか返金拒否されるなんて想定していなかったはず。
振込を間違えた役場職員の方はとても辛いでしょうね…
誤振込の返金に応じた「組み戻し」する場合はどういう手続きになるのか?
今回の返金手続きを組み戻しといいます。
組み戻しとはどんな手続きかというと以下のとおりです。
振込完了後に、
- 依頼内容に誤りがある
- 振込を取り消したい
など、依頼人(振込人)の都合でその振込を取り消すこと。
受取人の許可が必要。
※組み戻しには所定の手数料がかかり 依頼人(振込人) が支払います。
通常の場合であれば、
- 口座名義人が銀行までわざわざ出向き同意書類に記入・押印
- 銀行側から口座名義人の元へ行き書類を記入・押印
以上の流れで書類を回収し振込を取消して終了です。
普通なら返金される場合がほとんどだと思いますが、誤送金でも受け取った相手が悪ければ返金拒否もあるんですね。
町は男性の母親にも返金手続きを働きかけてもらいましたが、説得にも応じず返金しませんでした。
大金が思いがけず口座に入ってきたら「返さない!」という行動に出る人もいるという現実が明らかになった事件ですね。
お金に関わる業務は細心の注意が必要ですね!
山口県阿武町で給付金の誤振込でフロッピーディスクを使った理由は慣れた媒体やシステムが安心で新しいものを取り入れる必要に迫られていなかったから?
フロッピーディスクを使用していた理由をさっそく聞いていきましょう!
そもそもなぜそんな古い媒体を使用していたのでしょうか?
すみません、これは憶測になってしまうのですが。ぶっちゃけると面倒だからではないかと思われます…
え?面倒というのはどういうことでしょうか?
そもそも、昔フロッピーディスクが振込情報の媒体として使われていたころは画期的な最先端技術として取り入れていたはずです。
しかし、10年という短い期間でより効率的な技術が進みフロッピーディスクは古い媒体になりました。
各金融機関でもデジタル上で振込を行えるサービスがあるのでわざわざフロッピーディスクを使わなくてもよいのです。
が、それを変更するほどの理由がなく今までのやり方が慣れているため使いやすいから変更しなかったということが考えられます。
新しい技術を取り入れると処理も進むし良いと思うのですが、変更するほどの理由がないってどういうことでしょうか?
役所や銀行は変化していく法律に即時対応する必要があります。法律にそぐわなければ今まで使っていた書式やデータを作り替えたり全てを廃棄したりします。ですが、フロッピーディスクを使用することはそこまでの事象ではないため、使い慣れたフロッピーディスクをずっと使用していたということでしょう。
たしかに、使えるならそのままという気持ちもわからなくはないですが…
仕事内容が変わってそれを新たに覚えなければならないのはストレスではあるかもしれませんね。
フロッピーディスクの容量はどのくらい?
容量は鮮明な画像1枚も入らないほど少ないんですよね。
まずフロッピーディスクを公金で使用していた件について伺う前にフロッピーディスクについてざっくり解説しますね☺
1969年読み取り専用が誕生し、1990年代末にかけ小型コンピュータのデータ記録媒体として広く使われた。
その後、CD、DVD、BDなどの登場で徐々に衰退。
容量は1枚で1MB程度のため鮮明な画像1枚も保存できない。
フロッピーディスクって今では全く見かけませんよね。容量が少なすぎて使いにくそうですね